はなめも。~花屋のメモ帳~

現役フローリストが語る花と花屋のあれこれ。初心者向けにわかりやすく書いてます。花生活を始めませんか。

ドライフラワーで作品作り~基礎テクニックのワイヤリングを覚えよう~

ドライフラワーで作品を作ろう

フローリストのいろはです!

みなさんは御家庭で作ったドライフラワーはどのようにして楽しんでいますか?そのまま逆さに吊るしてインテリアにしても良いんですけど、ちょっと一手間加えて、自分の作品にしてみませんか?

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最初に覚えたいテクニックは【ワイヤリング】

自作のドライフラワーを色々組み合わせて束ねてみたり、流行りのハーバリウムにしてみたり。それも良いのですが、ドライフラワーをもっと自由に、色んな作品を作る事が出来るようになるとっておきの方法があります。それが【ワイヤリング】というテクニックです。

そんなに難しくないテクニックですので、ぜひ修得して素敵な作品作りに挑戦してみてください♪

ワイヤリングって何?

ワイヤリングとは、ワイヤーを花の茎に巻き付けるテクニックです。通常はその上から専用の【フローラルテープ】というものを巻き付けて、ワイヤーを隠します。カラーバリエーションがあるテープですので、茎の色に合わせたり、作品に合わせたりして違和感のないように仕上げます。

また、フローラルテープには、ワイヤーと茎をしっかりと密着させるという目的も兼ねています。

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ワイヤリングの目的

ワイヤリングの目的としては

  • 茎よりも長いワイヤーを使う事で、短い花も長く使う事が出来る。(作品に対して茎が短い時に、長さの足りない部分をワイヤーで補ってやる。)
  • ワイヤーを茎に巻くことで、折らずに茎の向きを自由に変える事が出来る。
  • 茎の折れ防止の補強材となる。

といった事が挙げられます。

また、茎が太過ぎる場合にも使えます。茎を細くするというよりは、太い茎を短く切ってしまって、その先を細いワイヤーにするという感じです。

例えば髪の毛に付ける時なんかは、髪と茎を一緒にヘアピンで留めたり、束ねてあるところに差し込んだりするのですが、そんな時は特に細い方が扱いやすく、留まりやすくなります。

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では早速、そのやり方を紹介したいと思います♪

ワイヤリングのやり方

まずは用意する物があります。どれもそんなに高い物ではありませんし、一度買えば相当な量が手に入るので、ぜひ揃えてみてください。

用意する物
  • ワイヤー(裸ワイヤー)#24~28くらい・・・数本
  • フローラテープ・・・茶色や白、グリーンなど用途によって。
  • ワイヤーを切るハサミ

大体これがあれば出来ます。ワイヤーの太さは#で表します。数字が大きいほど細くなります。花屋さんでもホームセンターでも売っていますが、何かが始めから巻いてあるワイヤーも有るので、それは避けましょう。フローラルテープは花屋さんか通販で買う事になると思います。

 

気になるワイヤーの太さですが、ドライフラワーであれば、頭が重い物は#24、軽いものは#26、折れやすくて繊細な物は#28で一度補強してからもう少し太いワイヤーを巻くと良いです。

 

ワイヤリングをした後に、花の重みでワイヤーがグニャっと曲がらなければOKです。#28で行ったワイヤリングであっても、しっかり花を支えているようであれば、そのままでもOKです。

手順①

まずはワイヤーを必要な長さの倍の長さにカットします。Uの字にして使うためです。そしてそれを茎に刺して貫通させます。または、茎の分かれているところへ引っ掛けます。

 

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作品によってどこに掛けるかは自由ですし、外れない所で、安定していれば大丈夫ですが、基本は茎の上の方に付けた方が安定しますので花に近い所に掛けます。

 曲げる自由度も、ワイヤーが長く茎に沿わせてある方が大きいです。ワイヤーが添わせてない所を曲げると折れますからね。

 

 

そして貫通させた方はそのまま先を下に向けてUの字にします。

手順②

次に、Uの字の内の片方を茎にくるくる巻きます。上から下に向けて、斜めに立て巻きのように。もう一方のワイヤーも茎と一緒に巻き込んでOKです。

 

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大抵はこの方法で行けますが、ラン類など茎が曲がっていて難しい場合は特別なワイヤリングをします。ガーベラやヒマワリも、茎が折れなければこれでも良いのですが、花の表面から直接挿してワイヤリングする方法などを用いる場合もあります。

 

それらの花は自作でドライフラワーにするのが困難な事が多いため、自作のドライフラワーであればこれでも充分かと思います。基本的にはワイヤーの掛ける位置が違うだけなのでそんなに難しくは無いです。

 

作品によっては茎に添えてそのままテーピングしてしまっても大丈夫です。要は、先に挙げたワイヤリングの目的を満たしていて、花が傷まなければ良いです。最低限、テープが剥がれない様に茎に何回かワイヤーを巻いて茎の表面に凹凸が出来ていれば大丈夫です。 

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手順③

フローラルテープでテーピングをします。ここから少し難易度が上がります。難しいというよりは、慣れが必要な作業となります。このフローラルテープが、慣れれば使いやすい、ちょっと癖のある憎いけど可愛いやつなんです。

 

まずこのテープは、触っただけでは粘着しません。引っ張ってやると、粘着する仕組みになっています。

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おわかりでしょうか?引っ張った分、少し細くなってますね。そして、若干ですが色が薄くなってます。この引っ張った箇所だけが粘着します。

この特性のお陰で、テーぷ同士が絡まったりせず、引っ張りながら必要な量だけタイトに巻く事が出来ます。

 

また、手でちぎれるという特性も持っています。カッターやハサミが無くても使えるので、非常に効率よく作業が進められます。

水に浸けてもセロファンのように ふやけないのも特徴で、生花のように水を含むもの二も使えて大変便利です。粘着と言っても、ベタベタしていません。湿った海苔に近い・・・かな?

 

これをワイヤーに巻いていきます。

(わかりやすいように、ワイヤーのみ巻いていきます。実際はワイヤーの先端に花がある感じです。)

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まずは、そのまま粘着面を巻き始めるところに水平に巻きます。回数は決まってませんが、何回巻いても効果は変わらないです。同じ面に重ねていっても、一番下の粘着面以外はワイヤーに触れないからです。それより、巻き始めをしっかりとタイトに巻き付ける事が大事です。

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次に、テープを少し斜めにします。こうする事で、自然と巻きながら下に進んでいく事になります。

 

基本は上から下に向けて巻いていく事になります。なるべく斜めの角度がきつい方が広い面積でワイヤーと触れることになるので、巻き回数が少なく、スリムに巻く事が出来ます。ワイヤーが見えない範囲で斜めにして巻きましょう。

 

ちょっとわかりにくいですね。ワイヤーに対してテープを直角に当てて巻き始めますが、そのまま真横で巻き続けてもその場所がどんどん太くなるだけです。下に向けるために斜めにする感じと言えば伝わるでしょうか。

 

もちろん、ちょっとずつ引っ張りながら巻きましょう。慣れてくれば、右手の小指にテープを引っ掛けて、先端を親指と人挿し指で摘んでテーピングすると、早く出来ます。

 

 

 

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そして最後はちぎります。今回はわかりやすくするため、途中で切りました。最後まで巻いてちぎりましょう。また、少しだけワイヤーが見えていますね。これは悪い例です。きれいにムラなく巻きましょう。

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 こんな感じに仕上がります。

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そして、こんな風に曲げる事が出来ます。

ワイヤリングのコツ

コツとうか、裏技みたいな事を紹介します。慣れてきたら挑戦してみてください。

 

テープを縦に半分に切って使用すると、かなりタイトに巻けます。

長いワイヤリングの時は大変ですが、短いテーピングで、なるべく茎を細く仕上げたい時はお勧めです。

 

②テープを巻くのではなく、ワイヤーを回してテープを巻き付ける

慣れてきたら、テープをクルクルと巻くのではなく、ワイヤーの方をクルクル回すようにするとタイトに、早く巻けます。

左手でワイヤーとテープを摘まんで、右手でテープを引っ張りながらクルクル回す感じです。ワイヤーに対して斜めにテープが向けてあれば可能です。

かなり効率が良くてお勧めですが、両手を使うため撮影できなかったんです。伝わると嬉しいですが・・・。

茎が折れて無くなっちゃった場合

最初は失敗して茎を折る事もあるかもしれません。その時は残った茎で頑張るか、ワイヤーの位置を変えるか、違う方法を考えることになります。細いストローに茎を挿して、グルーで留めるという荒業もありますが、用途が限られてしまうので、諦めて別の作品作りに利用した方が良いと思います。

 

ワイヤリングで作れるもの

ワイヤリングで作れる作品の一例です。簡単そうなものを集めました。

①コサージュ

 

asunaro-flowers.hatenablog.com

 

 

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何種類かパーツを作って束ねて作ります。作る際に、軸になるワイヤー(#20)を使うと楽です。

ワイヤー#20を必要な長さに切って、それにパーツを固定しながら作っていくときれいに作れます。

②ヘッド装花(髪に付ける)

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長さを4~5センチくらいにして作ります。テープのいろは髪に馴染む茶色が良いですね。なかなか普段は使わないかもしれませんが、パーティーや記念写真を撮る時なんかは有ると良いですね。

③ブーケ

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時間こそ掛かりますが、大量にパーツを作って束ねて作る事は、作業的にはそんなに難しく無いです。組み合わせやデザイン的な事の方が難しいです。

生花と違って、何度でも挑戦できるので、腕試しにいかがでしょう。長さが充分にある花はワイヤリングしなくても良いので、上手く混ぜて作りましょう。

 

他にもリースを作る際にも使うテクニックです。土台に差し込んだり巻き付けて作るので、ほぼ必須のテクニックとなります。

 

おわりに

簡単なのか難しいのかは人それぞれですが、それはコツを掴むのが早いか遅いかの違いです。一度コツを掴めば誰でも出来るようになるテクニックですので、ぜひ気楽に挑戦してみてください。

手のひらの土手の部分が痙攣する事があるので、ストレッチをしてから行ってください。また、あまりに長期間続けると、腱鞘炎になる人もいます。程ほどに、楽しめる範囲でやってみてください。

 

いろはでした♪

 

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